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「シュッ、シュッ、ハァハァ…もう一本だ!」
孝行は疲れで震える手を押さえながら最後のシュートを放った。
ガンッ…。シュートは醜い放物線を描いた後、ゴールにはかすりもせず大きく外れた壁に当たった。
「バスケットも中々上手くならないなあ。もっと練習だ!」
孝行は異常な執着心を持つ少年である。言いかえれば根気強いとも言えるが、多くの場合彼の執着心は間違った方向に働き、根気というには物事に取り組む姿勢に狂気が溢れすぎていた。
今、孝行はバスケットに執着している。バスケットが上手くなりたいのであれば一人でのシュート練習も大切だが、皆に混じりドリブルやディフェンスなどの総合的な経験を積むことも大切だ。
しかし、孝行は皆からの誘いを断り一人でシュート練習を続けている。そしてそのシュート練習すら殆ど成果は見られていない。
皆がバスケットのゲームをしている中、
「全国制覇だー」
と叫び隅でひたすらシュートを打つ孝行の顔は、さながら狂人のようであり見る者に恐怖すら与えた。
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