1人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから数十年の時が経ち、米国のNASAである男の会見が開かれようとしていた。もちろん全世界に中継されている。司会が話し始めた。
「今日会見を行う方は偉大な方です。人類初の自力で月に到達する快挙、うんこを固めて月の隣に人工の小惑星を建造、うんこをバリュートにし自力で大気圏突入、そして地球への帰還。彼の成した功績は宇宙科学を大きく前進させ、つい先日も彼のアドバイスによって開発されたうんこを推進剤にしたロケットが火星へ向けて発射されました。それでは、人類史上もっとも偉大な男に登場して貰いましょう。孝行氏です。」
紹介された青年はマイクを取り挨拶を始めた。
「孝行です。僕は偉大だと言われていますが、それはただ偶然の結果です。努力と皆の支えがあったから成し遂げられた人類全員の功績です。ただ、僕の話を聞いてくれている子供達にはどうしても伝えたいことがあります。必ず物への執着心を持って欲しい。何でもいいから執着すること。それが君達子供の未来を開く鍵なんだ。そして、それがくじけそうになったらこう叫んで執着を取り戻して下さい。全国制覇だー」
青年のスピーチが終わると会場から、いや世界中から大きな拍手が響きわたった。
「もう宇宙関係の仕事はされないと言うことですが、今後はどうされるつもりですか?世界があなたに注目しています。」
拍手の中、記者が孝行に質問した。立派な青年に成長した孝行はその時だけ子供に戻ったように笑った。
「NBA、これからはバスケットかな。」
ジョークと思い記者は笑った。孝行も笑った。
会見が終わった後のNASAの運動場。バスケットゴールの下。男の影がシュッと一本シュートを放った。
美しい放物線を描いたそれは音も無くゴールリングへ吸い込まれた。
~完~
最初のコメントを投稿しよう!