3家族、出会う

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程ほどに荷物を片付けて、お隣に挨拶に行くことにした 手土産は2人で悩んだ末、巷で有名なロールケーキにした 今日来るときに買ったのだが、あまりにも美味しそうで自分達用にも買ってしまった 「緊張するー…」 目立ち始めたお腹を抱えて、涼介は左隣の家の門の前に立った 表札にはローマ字で“Yaotome”と書かれていた 「やおとめさんかーどんな人だろうね」 チャイムを鳴らしてみたものの、反応が無い 2人で首を傾げる 留守なのだろうか 仕方が無いので、先に右隣の家に行くことにした 今度は表札に漢字で“薮”と書かれている 今度は居ますようにと願いを込めてチャイムを押す すると、願いは通じたようで中から声がした 「はーい」 ガチャ、と開いたドアから女の人が出てきた おっとりしている感じがしたが、とても綺麗な人だった 「あの、隣に引っ越してきた岡本です」 「あぁ!あの大きな家ね  宏太ー隣に引っ越してきたってー!」 女の人が奥に向かって叫ぶと、宏太と呼ばれた人が出てきた 俺は出てきた人をみて吃驚 「あれ、薮くん?」 「え、圭人?」 なんと出てきた人は知り合いの薮くんだった 薮という苗字であれ、とは思っていたけどまさかだ 「圭人、知り合い?」 涼介はロールケーキの箱片手に、不安そうに俺の服の裾を握って見上げてきた 俺は安心させるように頭を数回撫でた 「俺の行ってた高校の卒業生で、共通の友人を通して仲良くなったの」 「へー、」 「あ、とりあえずあがんなよ  懐かしいやつも居るぜ?」 促されるままに中へと足を進めた 薮くんに会ったのだ 懐かしいヤツ、まさか、ね…… .
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