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台の中を激しく跳ね回る銀色の玉だが、その音は大音量の音楽に掻き消され耳に届かない。
てか、これの何が面白いのかしら?ただ玉を打ち出してるだけじゃない。
そんなコトを考えていると、突然台のランプが激しく明滅する。
「おおっ!激熱来たぁっ!」
隣に座るナインが叫んでるけど何なのかしら。
台の中、モニターでは両サイドの『7』の真ん中、数字を撃ち抜き変えている。
「こいっ!こいやぁぁぁぁ!」
やっぱ喧しいわコイツ。仲間として熱血なのは頼もしいけど、普段まで同じノリだから正直ウザイのよね。
あ、真ん中が『7』で止まった。
「キタァァァァァァァァ!」
喧しい。
何が来たのよ。アンタの迎え?どうぞ行っていいわよ。甲子園でも花園でも好きなだけ熱血してらっしゃいな。
「ほら!フィア!そこに玉入れて!」
必死に台の下、口を開いた横長のスペースを指さしている。
別に打ち方変えなくても入ってるじゃない。
ジャラジャラジャラジャラ
あら、下の受け皿に玉が出てきた。
えっ、もの凄い出てきた。
「そこレバー引いて!玉を下の容器に移さないと!」
言われるままに小さなレバーを横に動かすと、底に開いた穴から玉が容器に流れ込む。
あっ、なんか楽しいかも。
空だった黒い底の容器が、落とされた玉で銀色に染まっていく様子に不思議と心躍る。
「15ラウンド来たぁっ!」
何よ15ラウンドって?私にも分かるように説明しなさいよ。
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