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結局、気付けば私の後ろには計十二箱が積まれる状態になっていた。
周囲からの視線が熱い。
正直、右手がダルくなってきたんですけど。途中で止めちゃダメなの?
隣のナインはずっと煩いし、始めこそ玉が貯まっていく様子が楽しかったけど、さすがに飽きてきた。って言うか飽きた。
「止めるわ」
右手を離し残った玉を受け皿へと流し込む。
「何でだよ!まだ確変は終わってないぞ!」
確かにランプの明滅はまだ消えてない。でも、飽きたのだから仕方ない。
「もう飽きたの。なんならナインが続きやれば?」
「ハイエナあざーーーっす!」
ナインは私の座る台にタバコを置くと後ろに積まれた箱を店員と共にどこかに運んでいく。
相変わらず無駄にムキムキの筋肉ね。
数分後、後ろに積まれていた十二箱は一枚のカードに変わった。
カードには『18658』と浮き出ている。
「それを持ってカウンターで景品と交換だ。欲しい物が無ければ金に変えればいい。じゃあ俺は打ってくるぜ!」
台に戻るナインに説明されたカウンターへと向かうと、カウンターの横一角に所狭しと並べられた景品の多さに驚かされた。
凄いわね。CDから掃除機にブランド物まであるじゃない。
本物かは知らないけど。
そう言えばユーヤはシルバーアクセ着けてたわね。シンプルなクロスだったけど、ここにあるデザインもなかなか棄てがたい物がある。
せっかくだしプレゼントしてやろうかしら。
―フィアside out―
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