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「遅い!」
右上より振り下ろしたレーヴァティンが弾かれ、俺は胸に掌底を叩き込まれ後ろに倒れる。
「考えるな!感じるんだ!」
あんたは李小龍か?黄色い全身タイツ着るといいと思うよ。
◇◇◇◇◇
あの日から一週間、今俺は那須にあるマイスの訓練施設にいた。
目を覚ました俺はとりあえず弥栄さんに土下座を敢行。
胸を両手で隠し潤んだ瞳で睨んでくる弥栄さんだったが、そこに三宅さんからの言葉。
「初めてのアーティファクトを使った戦闘で普通ではない精神状態だったのでしょう」に納得を示したのか、「これからは気を付けて下さい」の一言で事なきを得た。
マジ三宅さん神ッス!
そんなこんなで当初の予定通り那須の訓練施設にやってきた俺。
電車に乗り、乗り換え、乗り継ぎやってきた僻地の駅。
農村?いいえ廃村です。
そこからさらに車で一時間以上山道を走り辿り着いた四方を山で囲われた緑溢れる盆地状の平地。その中心に佇む不似合いなコンクリートの建物。
つーか、既に那須じゃないだろココ。
高さは三階建てなのだが、横の長さは首を左から右に限界まで回さないと全貌が捉えられない巨大施設。奥行きとか考えたら凄げえな。
それがアーティファクト契約者支援施設『マイス虎の穴』だった。
うん。とりあえずネーミングは考え直した方がいいと思うよ。ぶっちゃけ特殊な本屋しか思い浮かばんから。
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