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笑う膝、重い足を引きずり訓練場を後にする。
風呂に入らなければ何度も転がったお陰で身体中泥だらけで気持ち悪い。
屋外訓練場を後にし建物の扉を潜れば長い廊下に出る。
訓練でボロボロなところにこの廊下……
うん、設計したやつ死ねばいいと思うよ。
普通にあり得んて。
どこの世界に限界まで身体を酷使した人間を更に疲れさせる訓練施設があるって?
ああ、ここに有りました。本当にありがとうございます。
壁に備え付けられた手すりが優しさ?やかましい。
などと、そんなコトを考えていても仕方ない。自分の足で歩く以外、風呂の方から此方にやって来てくれる訳ではないのだから。
◇◇◇◇◇
「もらぁぁぁぁ!」
「甘いっ!」
レーヴァティンを横一閃、四谷さんに向かって放たれた衝撃波はその拳の前に霧散する。
だが、衝撃波は時間稼ぎでしかない。俺の狙いは詠唱時間の確保だ。
「―――ハァッ!!」
短い詠唱を終え、気合いの一声と共に俺から黒いオーラが噴出、身体中に通常を上回る力が溢れ出す。
足元から吹き上がる黒いオーラに髪は逆立ち、地面の乾いた土は宙に舞う。
これはレーヴァティンの技の一つで肉体を強化できる。効果時間は長くないが、それを補って余りある速さと膂力をもたらしてくれる。
分かり易く言うならば――
「スーパー地球人、一ノ瀬裕也だぁぁぁぁぁ!!」
調子に乗りました、すいません。
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