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四十を過ぎたオッサンの首から下がる麻紐に通された色とりどりの五つの勾玉。
何故だ…どうしてこうなった?
こんな厳ついオッサンのアーティファクトなら普通武器タイプだろ。国産の伝説級武器だと俺の知ってる限りでも『草薙剣』とか『七支刀』がある。
少なくとも勾玉じゃないだろ!
「お前……サラッとヒドいこと言うな。地味に気にしてるのに」
寂しそうな目で頬をポリポリ掻く四谷さん。
ありゃ、口から漏れてたらしい。
つか、本人も気にしてたのか。それは悪いことをした。
「まあ…だな。それはさて置き、能力は俺にピッタリだから問題ない。始めるぞ!」
四谷さんは足を肩幅より開き、前傾姿勢に腰を落とすと俺を睨みつける。
あの目はアレだ、本気と書いてマジな目だ。
気持ちを切り替えないと即行で転がされる。
レーヴァティンを両手で握り締め、どんな攻撃にも対処できるよう意識を張り巡らせ四谷さんの動きを待つ。
睨み合うこと数秒、四谷さんが動いた。
「速っ!」
その速度は今まで見てきた比ではない。
ナニソレ、縮地?って聞きたくなる程の速度で俺の横に現れる。
レーヴァティンの技で強化された動体視力ですら辛うじて捉えられる程の超速度で移動してきた四谷さんは驚く俺の横腹に拳を添えた。
何時もならそのまま殴り飛ばされるのに、今回は拳を添えただけ?
そんな疑問は次の瞬間、文字通り吹き飛ばされることになる。
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