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「何のためにって……生活費稼ぐため?」
他に理由が思い付かないので思った事をそのまま口にした。
「生きるため……か。だが、生きるためなら何もアーティファクトを使った戦いの道を選ぶ必要も無いだろう」
尤もだ。
実際、レーヴァティンと契約する前には同じコトを思ったし、その旨をフィアに伝えた。
結果は強制的に契約させられたがな。
「まあ、色々あって契約しちゃったんで」
フィアに無理やり契約させられた事は言わない。
俺の首から下がる西洋剣に二匹の蛇が絡みついた形のシルバーアクセ。フィアが俺にとプレゼントしてくれた物だ。
「どうせ戦うことになるなら死なないように強くならないと。意外なコトに俺が死んだら悲しんでくれるっぽい女の子がいるんで」
俺の本命は弥栄さんだがな!
「そうか、なら強くなれ!もっともっと強くなれよ!」
何だか無駄に熱いな。元テニスプレイヤーのあの人を思い出す熱さだ。
「女の為に命を賭けられる男は強くなる。何故だか分かるか?」
なぜでせう?
命を賭けた分、エロいことを要求出来るからとか?
「そこに愛があるからだよ!」
この先の記憶が俺には無い。
覚えているのは、やけに鮮やかな茜色に染まる夕空と、俺の全身を襲う鳥肌の感触だけだった。
ヨゴレの俺には熱血論は合わなかったらしいです。
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