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瞬間、ビクッと肩を震わせた二人は驚いたような表情を浮かべ俺に視線を向ける。
「……人がいただと」
「私達に気配を悟らせないなんて……所有者!?」
二人は俺に不審な視線を向けているが、はっきりと言わせて貰おう。
俺には気配を消すなんて忍者のような真似は出来ない。
学生時代に「存在感が薄い」だの「いたの?」などと言われたコトがあるが、それは気配を消していたからからではない。
ああ……思い出してたら鬱になってきた……
そんな学生時代のトラウマを頭の隅に追いやり、俺は訝しむように警戒の視線を向けてくる二人を見る。
男の方は二十代後半くらいだろうか。サラサラの金髪に碧眼、白いシャツの上に紺色のジャケットを羽織り、いい具合に色落ちしたジーンズを履いている。第三ボタンまで外されたシャツの胸元から覗く胸板は見た目の細さから言えば「細マッチョ」と言うやつだろう。
女の方を見ると、ブラウンの長い髪をポニーテールに結び、濃い赤のベストの下に黒いシャツ。ベストに合わせたのかベストと同色のタイトスカートを履いている。年齢は十代後半から二十代前半くらいだろう。
月と星明かりだけなので大体の感じなのだが、二人とも森の中を歩くには明らかに不似合いな格好であった。
とりあえず怪しさ全開な二人だが俺は一言言いたい。
「リア充死ねばいいと思うよ」
目の前に立つ美男美女に俺は心からの言葉を投げつけてやった。
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