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そう。俺の相手をしているのは普通じゃない人、リア充の四谷さんなのだ。当然のようにレーヴァティンには触れないように拳を繰り出す。
対する俺はレーヴァティンを襲い来る拳に当てるようにラッシュを繰り出す。
つーか、拳がぶつかり合う反発力で地面に降りられないんですが……どうしましょ?
「なかなかだ。鍛えた甲斐があったってモンだな」
「お陰…様…で……」
お互いが打ち合う拳ラッシュの中、平然とした表情で言ってのける四谷さんだが、こちとら無呼吸で拳を繰り出してんだから途切れ途切れになるのは当然。普通に話す四谷さんが異常なんだ。
つーか…無呼吸キチい。
ただ息を止めるだけなら今の身体能力を考えれば数分はいけそうだが、何分この嵐のようなラッシュをしながらだと長続きしない。
「う…ぎぎぎぎぎぎ……ぶはぁ!」
限界を迎え息を吸い込んだ事でラッシュの手が緩む。そんな俺の隙を見逃す四谷さんではない。
「収束―破―」
そんな一言が聞こえた次の瞬間、四谷さんが首から下げた勾玉の一つが輝き、薄くなった俺の拳の弾幕のど真ん中に巨大な拳が叩き込まれた。
ああ…なんか昔、こんな魔法をマンガで見た気がするな。
そう、あれは確かエムゼ―――
「ぶべらぁ!」
巨大な拳を食らった俺は枯れ葉のように舞い飛ぶ。
空が……青いです。
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