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「って、やらねーよ!」
そう、俺の本来の目的である『声』に叫んだ。
虎の穴に来た目的。確かに強くなる為だが、それは力に限った事じゃない。
この『声』に流されない心の強さを手に入れる事が真の目的だ。
「ちょくちょく人をそそのかしやがって!テメェは誰だ!?」
視線を落とし穴から上げ周囲を見渡すが人の姿は見当たらない。
「テメェのせいで弥栄さんに土下座するハメになったんだぞ!」
声を荒げるが『声』は答えない。
「華麗にスルーか!」
苛立ちからレーヴァティンを一振り。衝撃波が放たれ、遠くの木々を数本薙ぎ倒す。
その後、十数分ほど叫び続けたが『声』からの返答は一切無かった。
いったい、あの『声』は何なのだろう?後で四谷さんに相談してみっ―――あ゛。
「いーちーのーせーーっ!覚悟はいいんだろうな!?」
声の主は落とし穴から這い上がってきた四谷さん。全身泥だらけで鬼の形相で此方を睨み付けていた。
こうなれば……
「あっ、四谷さんの奥さん。こんちわー」
「なっ…マイハニー!?」
鬼の形相は一瞬で成りを潜め、輝かんばかりの眼差しで振り返る泥まみれの四十路オッサン。
何がマイハニーだ。こんな危ないトコに所有者ですらない人間が来るわけないだろ。
「リア充氏ねぇぇぇぇぇ!!」
隙だらけの四谷さんの後頭部目掛けレーヴァティンを振り下ろす。
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