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「――なっ!」
俺の殺気を感じ取り驚愕の表情に変わった四谷さんだがもう遅い。
落とし穴から半身を覗かせ、両手は草を掴んで身体を固定しているので身動きは取れない。
俺の……勝ちだ!
振り下ろされたレーヴァティンにより四谷さんの頭は血飛沫を上げ、真っ二つに切り裂かれ痙攣を一つ起こ―――――さなかった。
信じられん。
歯で刃を噛み止めるとか本当にバケモノですかアンタ?
「ふぉふぁふぇ……ふぉんふぃふぇふぁふぃふぃふぃふぁふぁっふぁふぁ」
何言ってるか分かりません。誰か通訳お願いします。
レーヴァティンを退き数歩後ろに下がる。
「お前…本気で殺りに来やがったな!」
ああ、さっきのはそう言ってたのね。
泥まみれでも分かる程の怒りから来る紅潮。その身体から発せられる怒気は大気を震わせると云う表現が当てはまる。
「だって訓練始めるとき殺す気で掛かってこいって言ってたしー」
「罠に嵌めて身動き取れない人間に攻撃するのは違うだろ!」
そんなん知らんがな。
言いながらも足を落とし穴の縁に掛け完全に脱出した四谷さんを前に俺は後ずさる。
このままでは何時も以上の過剰な、訓練と云う名のフルボッコタイムが待ち受けているだろう。
「三十六計逃げるに如かず!」
俺は走り出す。
肘と膝を90度に曲げた美しいフォームで一目散に駆け出す。
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