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―三宅side―
扉から出て行った一ノ瀬さんを確認した皆が一斉に息を吐く。
いきなり黒い靄が出現したかと思ったら一ノ瀬さんが現れたのだから驚きました。
高位アーティファクトには空間移動出来る物もあると聞いたことはありましたが、実際目にするのは初めてです。
「一ノ瀬さん……大丈夫ですよね?」
五十鈴さんの問い掛けも最も。一月前の一ノ瀬さんと見た目は変わらないものの、その纏う空気は所有者ですらない私にも分かるほどに禍々しくなっていました。
「おそらく……」
そう返すのがやっと。
大丈夫だと返すには自信も根拠も足りない。
私に出来るのは「先代契約者のように成らないでくれ」と祈るのみです。
俄かに騒がしくなった室内。
囁かれる話題は一ノ瀬さんのことでしょう。
しかし、空間移動が出来るとなれば色々考えなければなりません。
どこかの支部に所属してもらおうと考えてましたが、他の空間移動が使える契約者と同じく『遊撃手』として各地に赴いてもらった方が良さそうですね。
そうとなれば今まで考えていた一ノ瀬さんの今後の計画書は作り直しです。
とりあえず各都道府県の支部を巡ってもらって―――海外支部と本部も必要ですね。
一ヶ月半くらいで強行軍になると思いますが、そこは頑張ってもらいましょう。
さあ、計画書の作り直しです。
―三宅side out―
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