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「売られたくないならオニギリは一個でガマンしとけ」
一応サンドイッチがまだ残ってるが、コレをやってしまったら俺の道中のメシがなくなっちまう。
「だーかーらー、僕は食べてないんだよー!お兄さんがポチに食べさせちゃうんだもん!」
僕?ポチ?二人称?
「おまいは鹿じゃないのか?」
「鹿はポーチー!僕は僕だよー!」
鹿がポチ……だと。
ポチは犬の専用固有名詞じゃなかったのか。
「そう言うおまいは誰ぞ?そしてドコにいる?」
「僕はワンペ。ポチの角の間を見るといいと思うとワンペはワンペは進言してみる」
コイツ……色々と毒されてるな。どこのラストオーダーですか。
とりあえず俺は言われたように鹿の頭、角の間に視線を向ける。
初めて見る雄々しく育った鹿の角はシシ神様と同じです。
先端からその根元に視線を移動してみれば、何かが両角の根元を掴むようにして体を固定している姿が見て取れた。
形は人型、大きさは女の子が遊ぶような人形サイズ。男相手にはGIジョーと同じサイズと言った方が分かり易いか。
肩上に刈り揃えられた黒髪、白い浴衣のような一枚布の着物を羽織り、襟と袖口には赤で模様が描かれていた。
ああ、俺はこの服装を知っている。一昔前に流行った某侍魂で鷹のママハハと共に戦っていた女の子キャラの民族衣装と同じだ。
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