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「お兄さん!ちょっと手出して」
何かくれるのか?
言われるままに右手の平を鹿の頭、ワンペの前に差し出す。
しかし、さっきから鹿が温和しいな。相変わらず口はハミハミと涎を流してるが。
「じゃ、ポチまたねー!」
言うが早いかワンペは手の平に飛び乗り、そのまま腕を伝って俺の肩まで移動しやがった。
「ちょっ、おま何してんだ!?」
耳を掴むな耳を、いけない気分になっちゃうだろうが。
「いやあ、やっぱネットで得た知識だけじゃ偏るみたいだし、お兄さんに着いてって見聞を広めようかと」
「かと」じゃねえよ「かと」じゃ。俺の意思は無視か?あと耳元で喋るとうるせえ。
つか、おまいの知識はネット依存だったのか。
「めんどくせえ。だいいち俺は契約者だぞ、命令されればお前を狩らなきゃならん」
「バレなきゃよくね?それに僕がいると便利かもよ。なんたって僕はコロボックル、人間には無い能力だってあるしね!」
ほう、ワンペはコロボックルなのか。確かに北海道だし小っさいし納得だ。
「具体的にはどんな能力があるんだ?」
役に立つなら連れて行くのも吝(やぶさ)かではない。
「えっとねー……ご飯がたくさん食べれる」
「エンゲル係数増やしてどうする」
「自販機の下から落ちた小銭拾える」
「セコいわ。だいいち棒の一本もあれば事足りる」
「狭い所の掃除もオマカセ」
「クイックルワイパーに勝てるとでも?」
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