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「結界が張れる!」
「結界くらい契約者なら張れる……あ」
俺は張れねえや。
「薬草使った治癒術が使える!」
そーゆーのを先に言えし。
「よし採用しよう。待遇は朝昼晩の計三食、夜には眠る権利も与える」
「ちょっ、それ基本的に守られてる権利!」
むう、コイツが無駄に賢いのを忘れてた。
「冗談はさておき、役に立つなら連れて行ってやる。基本方針は働かざる者、食うべからずだ」
「らじゃー!不肖ワンペ、精一杯働かせて頂きます!」
こうして俺とワンペの『マイス、ワールドツアー』が始まった。
どんどん平穏な日々が遠のいてくんだが、誰か俺に安らぎをくれよう。
◇◇◇◇◇
「ちーす、三河屋でーす」
現在地は秋田市にあるマイス秋田支部。
順調に車を走らせ強行軍で北海道を一周、青森の支部を回った俺は、二つ目の県となる秋田へとやって来ていた。
北海道で温泉?入れませんでしたよ。
それもこれも……
「ちゃー!洗濯屋ケンちゃんでっす!」
こいつ、ワンペのせいだ。
バレない前提で着いてきたくせに、一発目の旭川支部で自ら存在をバラしやがった。
旭川支部は上に下にの大騒ぎ。
魔物を狩るための組織に魔物に分類されているワンペが乗り込んで来たのだから当然だ。
見た目は小さくても凶悪な魔物はたくさんいる。ワンペもその口だと思われたんだろう。
ワンペを知ってる俺から言わせりゃ「テラワロス」なんだがな。
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