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「おら、さっさと行くぞ」
真っ裸に剥いたワンペを右手に部屋の右手にある扉を開けば、そこには広々とした脱衣場があった。
脱ぐ場所間違えたし。
まあいっか。誰かに見られる訳でなし、自宅のように寛いで下さいって言われてんだから問題あるまい。
奥にある引き戸を開けば木枠で囲われた湯船が目に入る。立ち上る湯気からは、ほんのりと桧(ひのき)の香りが漂う。
「いつまで丸くなってんだ。付いてるモノは同じなんだから気にすんな」
猫のように首を持たれたワンペは膝を抱えるように丸くなったまま。
「モノとか言うな!モノとか!」
顔だけ此方に向けて怒鳴るが、俺はそんなの気にしなーい。
湯船からお湯を桶に掬うと、ワンペを桶に放り込む。
「ぷぺらぁっ!」
着水したワンペは水面に顔を出して頭を振っている。
つーか見てみろ。桶の中のお湯が濁り始めたじゃねえか。どんだけ汚れてたんだよ。
「そん中でキッチリ汚れを落としとけよ」
言いながら俺も桶にお湯を掬い掛け湯をする。
いきなり湯船に入らない。コレ常識。
温めのお湯が気持ちいい。
俺ってば熱いお湯は苦手なんだよね。長く入ってらんないし。
ふと、ワンペを放り込んだ桶を見れば……
浮いてるわ浮いてるわ!
いったい何時から風呂に入ってなかった?と聞きたくなるほどの汚れ。
透明なお湯が茶色ですよ。
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