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「お兄さんお兄さん。あれが噂に聞く地上げ屋ってやつ?」
俺の肩の上、「ヤ」のつく職業の方々を指差しているワンペ。
「多分そうだな。あんな服装で恥ずかしくない連中を俺は他に知らん」
ホント、どうしてアノ職業の人達は同じ様な服装に落ち着くんだろう?やっぱセンスが根本的に違うのかな。
さて、どうしよう。
部屋に戻りたいが、連中が入り口に溜まってるせいで中に入れん。
あ、女将が俺に気付いた。
しかし、女将は俺から視線を外し再び地上げ屋達を射るような眼差しで見つめる。
こちらには迷惑を掛けまいとする心情が感じて取れるその仕草に不覚にも感動してしまいましたよ。
職業意識が高いってゆーか、毅然とした態度が格好良かったってゆーか。
「おはよーございます。朝の散歩は気持ちいいですね」
気付いたら地上げ屋と女将に割り込むように歩み寄っちゃってましたよ。
「何だテメェは?」
腰を曲げて下から上に舐め上げるようにガンを飛ばす地上げ屋。
「当館のお客様です!無礼は赦しませんよ!」
やべぇ、女将が本気で格好いい。これで容姿が山姥でなければ惚れてたかもしれん。
「ほー、テメェがここの唯一の客か。こんなトコに居たって良いコト無いぜ。さっさと荷物纏めて帰るんだな」
むぅ、予想以上の答えが帰ってこない。地上げ屋……つまらんヤツだ。
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