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そんな地上げ屋だが俺のシャツの中、襟首から顔を覗かせていたワンペに気付き薄ら笑いを浮かべる。
「おいおい兄ちゃんオタクってヤツか?大切そうにお人形さん服の中にしまってよぉ」
ニタニタ顔がキモい。つーか、知らない人から見たらワンペは人形に見えるのか。
普通そっか、こんなんが動いて喋るなんて思わないもんな。
ワンペはワンペで理解しているらしく、口を挟むことなく黙って事の成り行きを見守っている。
「あー、そうそう。オッサンの定義で言うなら俺はオタクかもな。ただ、オタクって蔑称は最近出来たモンで、それ以前は特定の物事に特化した人間への敬意を込めた俗称だったらしいな。さて問題です。オッサンが今の知識を知っていたでしょーか?知るわけないかテラワロス」
口早に紡ぎ出される俺の言葉にオッサンは何を言われたのか分からずも、バカにされたのは分かったらしく顔を真っ赤に染めだした。
「顔を朱に染めるなキモい。それで萌えられるのは美少女だけだ」
両手の平を上に向け、ヤレヤレといった感じで溜め息を吐いてやれば、オッサンは頭から蒸気を吹かんばかりに真っ赤になっている。
きっとバカにされるのに慣れてないんだろう。
俺レベルになるとバカにされたって痛くも痒くもないぞ。なんたって中学から大学までの九年間「暗い」とか「キモい」とか言われながら生きてきたからな。
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