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「ま、朝飯お願いします。食ったら下の方の土産物屋も見てきたいんで」
さすがに一日中ゴロゴロしてんのも退屈だし、せっかくだから色々見て回りたいんだよな。
秘宝館とか秘宝館とか秘宝館とか。
「畏まりました。それでは朝食のご用意を致しますので少々お待ちを」
言い残して女将は建物内へと戻っていく。
時折チラチラと此方に送られる心配そうな視線が俺の鳥肌を誘う。
コレ、客が俺しか居ないのって女将が原因じゃね?非常識に慣れつつある俺ですらあの視線には恐怖を感じますよ。
◇◇◇◇◇
「すっげー!ちょ、ワンペ見てみ!」
「うは!すごく…大きいです」
客の少ない時間なのか、秘宝館には俺の姿しかない。おかげで周りを気にすることなくワンペに話題を振れる。
「これもなかなか……」
「コレが普通に展示されてることに僕は驚きが隠せないよ」
いやぁ、ビックリですよ秘宝館。さすがにコレは弥栄さんとは来れんわ。
ひとしきり堪能してから温泉饅頭や温泉卵などを適当に買い込み車へと戻る。
どうしてもワンペが居ると食堂には入りにくい。
不特定多数が居る中でワンペと飯なぞ食おうものなら―――
「あのお兄ちゃん、お人形さんとご飯食べてるよ!」
「ダメよ見ちゃいけません!」
もしくは―――
「人形が動いて話してるぞ!」
「テレビ局!テレビ局に電話だ!」
どちらにしろ俺の平穏は壊される。前者の方だと心が折られるオマケ付きだ。
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