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風呂から上がった俺とワンペは浴衣に着替え、テレビを点ける。
風呂に入っている間に女将が来たらしく、床には布団が一組敷かれていた。
テレビから流れるニュースは相変わらず、強盗や殺人事件など暗いニュースばかり。
明るいニュースは無いもんなのかね。
缶ビールのプルタブを起こし中身を口内に流し込んだその時、そんな平穏な一時を壊す声が宿に響く。
「出てこいやぁ!朝は世話になったのぅ!」
閑静な宿に似合わぬダミ声が俺の耳に届いた。
つーか、宿の奥に位置してるこの部屋まで聞こえるとか、どこから叫んでんだ?
おそらくは朝の地上げ屋だろう。
あれだけ力の差を見せれば暫くは来ないだろうとタカを括ってたんだが、残念なことに再来してしまったらしい。
しかも、これだけ早く戻ってきたってコトは、自分達より強い―――所謂用心棒を連れてきた可能性がある。
いや、可能性としてなら殖装体になって戻ってきた可能性も…………うは、勝てる気がしねえ。
あり得んがな。
さて、地上げ屋達だが……まんどくせ。
どんなに強くたって、契約者の俺と一般人じゃ大人と子供なんだよ。
ま、せっかくだから二度とこの宿にチョッカイ出す気が起きなくなるくらいシメてやっか。
「お兄さん、行かないの?」
ふっ、そんな楽しそうな笑顔でこっちを見るなワンペよ。
「行くぞワンペよ!勝ち鬨を上げぃ!出陣じゃあ!!」
「いや、まだ戦って勝ってもいないのに勝ち鬨は上げないし」
どうせ勝つんだからいいじゃん、細かいなワンペは。
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