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浴衣を翻し廊下に出てみれば、遠く入り口付近で言い争う地上げ屋達と女将の姿が見て取れる。
つーか、コレもう警察呼んでもいいんじゃね?営業妨害とか威力業務妨害で引っ張れるよな。
ま、この場は俺が片付けますけど。
俺ってばカッコよす!
そんなコトを思いつつ歩を進めれば、俺にノされた「ヤ」のオッサンが此方に気付く。
「居やがった!アイツです、お願いします!」
俺を指差すオッサンだが、その顔は後ろに控える誰かに向けられている。
おそらく用心棒とかいうヤツなんだろうが、いきなり丸投げはどうかと思うよ。適わないまでも、最初は自分が向かって来ようよ。
そんなオッサンの声に後ろに佇んでいた一人が前に歩み出た。
見た感じ三十半ばだろうか、長めの黒髪を左右に分け、前髪から覗く目つきは鷹のように鋭い。
オッサン達とは違う黒のスーツに身を包み、開かれた薄青いシャツの胸元には金色のネックレスが光る。
身体つきこそ細く見えるものの、何時でも動き出せるような重心配分がオッサン達の数段上の強さだろうと予測させた。
あー、四谷さんとの特訓のお陰でこんな洞察力ばっか育っちゃったよ。
どうせなら隠れきょぬ~の見分け方とか、そっち方面の洞察力が欲しかった。
さて、さすがに女将が対処に困ってるし、さっさと片付けるとしますか。
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