Enemy『はぐれ契約者』

15/27
前へ
/317ページ
次へ
突如として俺を中心に広がるセピア色の空間。目にするのは二度目になる結界だ。 「結界……お前も契約者だったか」 お前も?……つまり、黒スーツも契約者ってコトか。 確かに色々と強化された俺と対等の勝負をしているんだから、その時点で気付くべきだったな。 そんな時、懐から頭を出したワンペが口から煌びやかな液体を吐き出した。 「ちょっ、おま何してんだ!」 ああ、ちょっと具が分かるのがリアルで嫌だ。 「……酔った」 吐ききったのか青い顔で俺を見上げるワンペを懐から取り出し、近くにあった台に向けて放り投げる。 「ひゃぁぁぁぁぁぁ!」 放物線を描いて「ベチッ」と云う音と共に着地したワンペ。 天罰だ。 「さて、仕切り直しと行こうか……」 先ほどより間合いを取った黒スーツは不敵に笑う。 「ワンペに対してのツッコミは無しか?」 明らかに俺とワンペの会話を見ている筈なのに冷静な黒スーツに向かい聞いてみる。 そんな俺の問いを気にした様子もなく 「確かに魔物と連れ立った契約者なんて初めてみるが、それ以上にお前との喧嘩が楽しいからな」 どうやら黒スーツは戦闘民族の出らしいです。髪が金色になって逆立ったらどうしよう。 「それに……」 黒スーツは両手の平を前で打ち合わせると、ゆっくりとその合わせた手を離す。 その離された両手の間、手の中から生えるように徐々に現れる一振りの剣。 「契約者との喧嘩は久しぶりだ」 うわぁ……目が輝いてるよ。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11369人が本棚に入れています
本棚に追加