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突如として俺を中心に広がるセピア色の空間。目にするのは二度目になる結界だ。
「結界……お前も契約者だったか」
お前も?……つまり、黒スーツも契約者ってコトか。
確かに色々と強化された俺と対等の勝負をしているんだから、その時点で気付くべきだったな。
そんな時、懐から頭を出したワンペが口から煌びやかな液体を吐き出した。
「ちょっ、おま何してんだ!」
ああ、ちょっと具が分かるのがリアルで嫌だ。
「……酔った」
吐ききったのか青い顔で俺を見上げるワンペを懐から取り出し、近くにあった台に向けて放り投げる。
「ひゃぁぁぁぁぁぁ!」
放物線を描いて「ベチッ」と云う音と共に着地したワンペ。
天罰だ。
「さて、仕切り直しと行こうか……」
先ほどより間合いを取った黒スーツは不敵に笑う。
「ワンペに対してのツッコミは無しか?」
明らかに俺とワンペの会話を見ている筈なのに冷静な黒スーツに向かい聞いてみる。
そんな俺の問いを気にした様子もなく
「確かに魔物と連れ立った契約者なんて初めてみるが、それ以上にお前との喧嘩が楽しいからな」
どうやら黒スーツは戦闘民族の出らしいです。髪が金色になって逆立ったらどうしよう。
「それに……」
黒スーツは両手の平を前で打ち合わせると、ゆっくりとその合わせた手を離す。
その離された両手の間、手の中から生えるように徐々に現れる一振りの剣。
「契約者との喧嘩は久しぶりだ」
うわぁ……目が輝いてるよ。
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