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俺の意思に反応して現れる黒い靄。その中に右手を突っ込み引き抜けば、握り締められているのは紅黒い反り身の刀身が禍々しいレーヴァティン。
いつ見ても悪役の武器です。本当にありがとうございます。
「レーヴァティン……珍しいアーティファクトだな」
俺の握るレーヴァティンに視線を落とし呟く黒スーツだが、それ以上の感想はない。
どうやらレーヴァティンが畏れられてるのは文書として残されてるマイス内だけらしいな。
こーゆーはぐれ契約者からすれば海外のアーティファクトってコトで珍しいだけで、特段畏怖の対象では無いようだ。
「二人とも得物を持ったところで始めようか」
剣を右手に半身に構えた黒スーツが吼える。
「今剣!推して参る!」
黒スーツのアーティファクトは今剣と言うらしい。
剣と名前は付いているが見た目は日本刀、小太刀に分類されるだろう程に短い。
間合いで言えば圧倒的に俺が有利だ。
一足跳びに襲い来る黒スーツに俺はレーヴァティンを左から右へ横凪ぎに一振り。間合いを詰めさせない作戦。
近付かせなきゃ、どうってコトないんですよ。
しかし、俺のそんな作戦は一瞬で崩れ去るハメとなる。
黒スーツは下がる気配もなく、レーヴァティンを今剣で受け止めると刃同士を滑らせて勢いもそのままに接近、懐に入ると空いた左拳を俺の腹へと叩き込んだからだ。
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