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「座って!」
数分後、薬とおぼしきモノが出来上がりワンペに座らされる。
黒緑色のソレを俺の傷口全てに塗り込んだワンペはその上から包帯を巻く。
だから、どこから出した?その包帯。
そんな疑問も束の間、俺は痛みが和らいでいることに気付いた。
あれだけの……重傷とも言える刺し傷が薬草を塗り込まれ包帯を巻かれただけで痛みが引いている。
大丈夫なのかコレ?ヤバい作用の薬草とか使ってないよな?
「はい終了~!」
パンパンと手を叩きドヤ顔を決めるワンペを華麗にスルー。
俺は未だ漆黒の鎖に埋もれたままの黒スーツに近付く。
両腕を折られ、今剣も手放し、鎖に依って無力化された黒スーツは僅かに開く鎖の隙間から俺を睨んでいた。
「俺の……勝ちだな」
不敵な笑みを浮かべてみるが、正直フラフラ。レーヴァティンを支えにしてないとぶっ倒れそうですよ。
血って大事なんだね。
「そうだな……俺の負けだ」
悔しそうな口調と眼差しだが、勝敗の決着は変わらない。
「……で、俺をどうする?このまま絞め殺されるのか?」
「どうしようかね?俺としては金になるならマイスに売り飛ばしたいんだが」
殺したって一銭の儲けにもならないしね。
「……好きにするがいい。勝ったのはお前だ、決定権はお前にある」
うは、潔くてはカッコイいじゃまいか。
カッコ良くてムカつくから足も一本逝っとく?
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