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「ところで結界はもう解いてもいいのかな?」
ああ、そうだな。向こう側では俺達がいきなり消えたせいで騒ぎになってるだろうし。
「いいぞ。もう抵抗もしないみたいだし、電話して三宅さんに引き渡そう」
漆黒の鎖を解くと黒スーツが床に崩れ落ちる。
落としたハズの今剣はどこにも見当たらない。
俺もレーヴァティンを黒い靄に収納するとワンペに向かって親指を立てる。
「んじゃ解くよ―――っと、その前に隠れなきゃいけないんだけど……隠れる場所が無い罠」
そう言えば今剣の衝撃波で俺の浴衣はボロボロ。上半身裸の状態だ。
「あれだ、部屋に戻って解いとけ」
「サーイエスサー!」
ビシッと敬礼を決めたワンペは部屋のある廊下の奥に向かって駆け出した。
「魔物とつるむ契約者か……組織にもお前のような面白いヤツがいたんだな」
両腕をダラリと下げたまま楽しそうに笑う黒スーツ。
「魔王二世らしいからな。周りが許す限りは好き勝手させて貰うさ」
自虐的な笑みを浮かべて答える俺。
二人とも笑顔なのに黒スーツの方が勝ったみたいな笑顔なのは何でだろう?勝ったのは俺だぞこんちきしょう。
おっと、ワンペが結界を解いたらしい。セピア色の風景が元の色を取り戻していく。
完全に結界の消え去った空間。
そこにはただオロオロとする地上げ屋達と状況に着いていけず呆然とする女将いた。
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