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「しっかし……渋滞が動かんな」
「急ぐ旅じゃないんだし、いいんじゃない」
「いや、急ぐから。時間制限あるから」
日本国内どころか、それが終わったら海外の支部まで回らなきゃならんのだから。
ああ、そう言えば三宅さんがちょっと驚いてたな。
結構詰めたスケジュールを組んでたのにソレを前倒しで更に詰めて三日も休日を作った俺の強行軍に。
ま、この後はスケジュール通りに動きますよ。
だって三宅さんったら―――
「まだ詰める余裕があったんですね。一ノ瀬さんを甘く見てました……スケジュール、組み直しましょうか?」
とか言うんだもん!
冗談じゃない。これ以上詰められたら本気でぶっ倒れるわ。
丁重にお断りしてスケジュール通り動くことにしましたよ。
なので今後まとまった連休は取れない。最初で最後の連休がはぐれ契約者との戦闘で潰れてしまった。
やっぱもう一本くらい折っとくべきだったか?
ちなみに黒スーツはマイスに良い額で売れました。
「お兄さん、進んだよー!」
「おおう、危ない危ない」
つい思考の海に沈んでいた俺をワンペの声が引き戻す。
ブレーキから足を離し、軽くアクセルを踏んで前の車との隙間を詰める。
三宅さんの組んだスケジュールって渋滞も想定してんのかな……
そんなことを考えつつ、俺とワンペは次の目的地を目指して夏の日差しが降り注ぐ渋滞という名の監獄で脱水症状に陥りそうになっていた……
自販機ェ。
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