Another『魔法遣い』

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「……それじゃ」 「ああ、済まなかった」 道路脇に避けた雨合羽の横を走り過ぎる俺。 擦れ違う時に集中して見てみたんだが、身長は百六十前後で―――女だね。 声も判断の材料だったが、秋田支部の千尋の例があるので油断はできん。 決め手となったのは……言うまでもないよな。 乳ですよ乳! あれは弥栄さんに勝るとも劣らない見事な張りだった。 雨合羽の上からでも分かるんだから間違いない! まあ、俺に用事な時点で危険人物だからスルーだけどね。 さすがに俺だって乳と危険を天秤にかければ…… ち……乳………いやいや、危険回避を…取る……よ? バックミラーを見れば、雨合羽の女が次の車を止めている様子が映っている。 もしかして、あそこを通る車全部に同じコトしてるのか? 何にしても残念な頭のヤツで助かった。もう契約者との戦闘なんてコリゴリですよ。 「あれ?良かったの?」 「無益な争いは何も生まないんだぞ」 「お兄さんが言うと説得力の欠片もないのは何故だろう」 「俺を戦闘狂のように言うなし」 「でも、黒スーツと戦ってる時のお兄さんの楽しそうな表情を見ちゃうとねぇ」 むぅ、そんな表情してたのか……それは芳しくないな。 これもレーヴァティンの影響に違いない。平和主義者の俺が戦いに喜びを見いだすなんてありえんからな。 うんそうだ。 戦闘が楽しくなったのも巨乳に異様なまでの執着を示すのもレーヴァティンが悪いんだ! 間 違 い な い !  
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