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ヤベぇ、県道の一件で頭が残念だとタカを括っていたが、実は賢かったのか。
船内という限られたスペースで結界を張れば、確実に契約者だけを見つけることが出来る。
これは予想外だ。
隠れるべきか?だが、隠れると言っても隠れる場所が無い。
迷い戸惑う俺の後ろからカツカツと小気味良い足音が聞こえる。
ここは結界の中、足音は確実に契約者。
さあ、どうする!
足音はどんどん此方に近付いているので考える時間は無い。
とっさに身体を伏せ、椅子と椅子の間に身を隠すと、それに数瞬遅れて止まる足音。
足音の主がどうやら広間に入ったようだ。
椅子の下の隙間から覗けば、ミュールをカツカツ鳴らせ歩く足が見えた。
あの足下は間違いなく美人さんだ。
俺が座っていて隠れた席は広間の中間くらい。美人さんが現れたのは広間の後部入り口。
距離はまだある。考えろ!考えるんだ俺!この局面を乗り切る策を考えるんだ!!
まあ、無駄でしたがね。
普通に美人さんは椅子の隙間に寝そべる俺を見つけ見下ろしてきた。
つーか、凄いぞこのアングル。
下から見上げると乳で顔が見えんわ。
「アナタが契約者……イチノセユウヤね」
「いいえ、通りすがりの仮面ライダーです」
言ってから後悔したね。
だって体感気温が五度は下がったもの……無言がキツいんだもの……
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