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「アナザーは神を倒し魔物を一掃することに理念を見いだしている。対するマイスは神と戦うのが怖くて現状維持に理念を見いだした」
もうダメぽ。
俺の頭じゃ理解が追いつかん。
頭はグチャグチャ、目はグルグル。知恵熱で水蒸気爆発起こしそう。
「……今日は帰るけど、アナザーに移籍する話は考えといてね」
俺のそんな状況を見て、これ以上話しても無駄だと思ったのか、美人さんは椅子から立ち上がる。
「心が決まったらココに連絡を頂戴、私の携帯番号だから」
そう言って胸の谷間から一枚の名刺を取り出し、座ったままの俺に手渡してきた。
ほんのり温いんだが。
頬に当てて温もりを感じれば、熱暴走しそうだった頭と心に幸せが訪れる。
そんな幸せだが、上から注がれる絶対零度の視線の前に諦めさせられた。
ああ、幸せの温もりが冷めちゃう……
でも、その視線には感じちゃうの。ビクンビクン。
「また会うこともあるでしょう。もしかしたら他の仲間が接触するかもだけど」
いや、どうせ会うならアナタが良いです。次は紙越しじゃなく、ダイレクトに温もらせて……パフパフさせて下さい。
美人さんは俺に背を向け広間の前方へと歩き出した。
その際、小さく詠唱が聞こえる。何らかの術を発動するらしい。
敵意も感じず、視線も此方を向いていないので攻撃術ではないのだろう。
まあ、普通は勧誘しといて攻撃してくるとか無いよな。
そんなコトを考えてた次の瞬間、美人さんは足首を内側に折れ曲げさせコケた。
そんな踵の高いミュールなんか履くから……
恥ずかしそうに顔を朱に染め此方を見てくるので視線を逸らす。
見てませんよー。
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