outside『進化』

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「何の用だイケメン」 憮然とした態度で冷めた眼差しを投げつける。 「お前を迎えに来たんだよ」 気怠そうに言う仕草すらカッコいい。 「待ち合わせは何時だと思ってる。遅いんだよ、グズ、亀、ナメクジが。イケメンだからって何でも赦されると思うなよ」 時間も守れないようなイケメンに遠慮する必要は一切ない。 それにあの時、いきなり攻撃された恨みを忘れてないぞ。 「お兄さんが珍しく最初から刺さってるねー」 当然だ。コイツにはまだ攻撃された借りを返してないからな。 まだレーヴァティンと契約もしてないのに衝撃波を飛ばしてきたコトを俺は忘れてない。 「時間に遅れたのは悪かったが……ソコまで言うことないだろう」 ふん。イケメンなんて人種に情けを掛ける俺だと思うなよ。隙があれば後ろからバッサリやってやる。 「さっさと案内しろ。イケメンと同じ空気なぞ何時までも吸ってられるか」 ああ、心がささくれ立つ。 いくらイケメン相手とはいえ、ここまで心が荒れるのはおかしい。 基本が紳士の俺だ。何時もならばイケメン相手とはいえ、自然に振る舞い油断したところを沈めるのが常套。 それなのに、このイケメンの前ではソレが出来ない。 今すぐにでもレーヴァティンを呼び出し斬り掛かりたい衝動にすら駆られる。 そんな衝動を抑えて口撃だけに済ませているのだから感謝して欲しいくらいだ。
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