outside『進化』

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頭が入るくらい隙間を開けて扉の中を覗き込む。 そこは応接室の一室なのか、テーブルを囲むようにソファーがあり、壁には見ただけで高そうな調度品が並んでいた。 「日本の高級感もコレの前には霞むな」 「何て言うか、重みが違うね」 ワンペの言うように重みが違う。この部屋で商談なんぞしようものなら、向こうの言うことに肯くしか出来ないだろう。 覗き込んだ頭を引っ込めて扉を閉める。 すれ違う人達が俺を見るが、特に何を言うでもなく去っていく。 奇異の視線には慣れてるが、気分のいいモンじゃないな。 ま、気にしないけど。 その後も数部屋覗き込み、その一つが使用中の更衣室というハプニングもあった。 残念ながら全体的に豊満なオバサンだったけど…… 適当に歩き適当に部屋を覗いていたら、いつの間にか地下に居た。 階段を降りた記憶は無いんだが、窓は無く燭台に灯る炎が淡く廊下を照らし、右手には格子戸が並びその中を蝋燭の火が薄く浮かび上がらせている。 「なんか変な場所に来ちまったな」 湿度は高いが肌寒さを感じさせる雰囲気は今にも幽霊が出てきそうだ。 「部屋ってより牢屋っぽいね」 人気が無くなり、懐から定位置の肩に移動したワンペが呟く。 確かに鉄格子でこそないが、造りは牢屋のように廊下から部屋の中が見える様になっている。 「古い建物だし、昔はこの手の建物には牢屋が完備されてたんじゃね」 「牢屋完備の物件とかバロス」 少なくとも日本じゃ売れんな。
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