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鎖で拘束されていなければ、今にも飛びかかって来そうな雰囲気を醸し出すフィアを見ると、鎖で縛られた手足が赤く腫れているのに気付いた。
女の子をなんて扱いしてやがる。拘束プレイは跡が付かないようにするのが鉄則だろうが。
フィアの前にしゃがみ込み、足を拘束する鎖を見てみると……
ゴスッ
鈍い音と共にフィアの膝蹴りが鼻っ柱にめり込みました。本当にありがとうございます。
「鎖を解こうとする俺に膝蹴りとかヒドいじゃまいか」
「鎖を解こうとする人がわざわざ私の足を開こうとする理由を聞こうかしら」
どうやら俺が悪かったようです。
だって、すべすべツヤツヤなんだよ!奥には桃源郷もあるし、じっくり見たくなるのは仕方ないコトだと思う。うん、間違いない。
「まあ、それはそれとして」
「逃げたわね」
「逃げたね」
細かいなあ二人とも。
「鎖の継ぎ目が見当たらんのだが」
足を拘束する鎖を調べども調べども起点となる場所が見当たらない。
「継ぎ目がないのは当然よ。グレイプニルだもの」
グレイプニル……フェンリルを繋いでたってアレか。
「解けないなら、ぶった斬る」
「え?ちょっ―――」
俺は立ち上がり炎を纏ったレーヴァティンを振り上げると刃に意識を集中し、驚きと恐怖から身体を小さくするフィアの足首へと真っ直ぐに刃を振り下ろした。
手元狂いませんように。
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