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―アインスside―
「ユーヤイチノセを連れてまいりました」
静謐な空気が居心地の悪さを覚えさせる一室。俺は初老の男性に報告をする。
室内に居るのは俺を含めて三人。
目の前で重厚な椅子に座り、同じく重厚な木のデスクに肘を着き俺に射るような視線を投げつける初老の男性。
長く細い白髪は首の後ろで束ねられており、身を包むのは白い法衣のような服。
彼はマイス本部長のシックス。実質的なマイス運営のトップだ。
そして、シックスの左後方に立っている短めに金髪を刈り揃えた黒いスーツ姿の男は秘書のセブンデイル。
この二人によってマイスという組織は活動の大半が決定されている。
常任理事も居るらしいのだが、少なくとも俺は見たことがない。
「レーヴァティンの契約者か……」
シックスが何かを考えているかのように呟く。
「問題ありません。我々の手の内にある分には使える駒となりましょう」
何かを察したようにセブンデイルが語る。
正直なところ、俺はこの二人が嫌いだ。
何が嫌いって、人を本当に駒のように扱うところがだ。
彼等が命じる作戦の中には、明らかに死傷者が多数出るような作戦もある。
デーモンの滅殺は確かにマイスの本分だが、アーティファクト契約者以外のサポート要員を使い捨てのようにする作戦は契約者達から強い反感を買っていた。
しかし、上申しても結論は変わらず、結果として契約者達がサポート要員を守りつつデーモンを殲滅するという無茶な戦いも多々あるのだ。
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