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「それでユーヤイチノセはどこに居る」
セブンデイルの上からな物言いに腹は立つが、こんなのでも上司になるのだから逆らえない。
「一階ホールで待たせています」
正直、部屋の前まで連れてきても良かったんだが……気に食わない上司へのささやかな抵抗ってヤツだ。
「連れてこい」
ま、こうなるのは予想してたけどな。
「その前にフィアを解放して下さい」
フィアは彼等の命令で拘束された。罪状はアーティファクト契約への干渉。
確かにアーティファクトとの契約は本人のみで行わなければならない。
しかし、それは不文律。
明確に罰則もないような暗黙のルールだ。
今回のフィアの行動は誉められたモノではないが、拘束は明らかに過剰対応というのが大半の意見である。
「ユーヤイチノセが先だ」
こうなると俺には何も言えない。所詮俺は仕える側でしかないのだから。
◇◇◇◇◇
一階ホールを見渡すがイチノセの姿が見当たらない。
近くを通った人に聞いてみれば、見たことのない日本人がウロウロしてたとか、着替えを覗かれたとか、一人でブツブツ言いながら歩いてたなど目撃情報が集まる。
待ってろって言ったのに何してんだアイツは……
目撃情報からイチノセが通ったと思われる場所を重点的に探すが、なかなか姿は見当たらない。
コッチの方は滅多に来ることが無いから俺も何があるのか分からん。
廊下にはだんだんと人気がなくなり、太陽の光を射し込んでいた窓も無くなって壁の燭台が唯一の明かりとなっている。
こんな場所があったんだな……
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