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いくらイチノセでもこんな場所には来ないだろ。
来た道を戻るために振り向いた俺の視界に此処に居るはずのない二人の人物の姿が飛び込んでくる。
「シックスにセブンデイル、何でこんな所に?」
俺の後ろに立っていたのは、先ほどまで三階の執務室にいた気に食わない上司達だった。
「グレイプニルが断たれた。お前も来い」
グレイプニル?
北欧神話のフェンリルを封じていた鎖か。
今の反応からすると、シックスはグレイプニルの契約者なのだろう。
「良いのですか」
「構わん。序列の低いアーティファクトでも居ないよりマシだろう」
俺の隣をすり抜けて暗がりへと進む二人の後を追う。
つーか、確かに俺のエッケザックスはアーティファクト全体から見れば序列は低いさ。
だが、それを本人の目の前で言うってどーよ?
こんなヤツらが俺達のトップに何で成れたのか理解に苦しむ。
少なくともマイス内では民主制は適用されてないんだろう。
じゃないと、こんなヤツらがトップに立てる訳がない。
この間、本屋で立ち読みしたマンガにあった『名前を書くと心臓麻痺を起こすノート』が本気で欲しくなってきた。
―アインスside out―
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