outside『進化』

17/59

11369人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
それにしても、グレイプニルを断ち切るなんて……おそらくレーヴァティンの性能を使いこなしているのだろう。 あの日から二ヶ月と経ってないのに恐るべき速度だ。 私だってケーリュケイオンの性能を引き出すまで一年近く掛かったのに。 ちなみに、全ての性能は未だに引き出せていない。 むぅ、悔しいわね。 「ところで、僕はお姉さんのコトまだ紹介されてないんだけど」 そう言えばそうね。 「私はフィア=エルステッドよ」 握手の為に差し出した右手が空を切る。 ああ、サイズが違いすぎて握手が出来ないんだ。名乗った時の習慣で手を差し出したちゃったけど……これは失敗ね。 「よろしくー!」 そんな私の感情に気付いてか気付かずか、ワンペちゃんは私の差し出した手の人差し指を握り締めた。 か、可愛い――― 「ユーヤ、この子欲しい」 「欲しけりゃ持ってけ」 「人身売買反対!」 叫んだワンペちゃんは私の指を離し、ユーヤの肩に逃げるように飛び乗る。 あーあ、逃げられちゃった。 って、こんなコトしてる場合じゃなかったわね。 「ユーヤ逃げて!」 この場にユーヤが居るのはマズい。 「何でだ?」 「女性の寝室に忍び込んだケダモノ。逃げるには充分過ぎる理由だよね」 「違う!」 私の寝室は地下牢なんかじゃないわよ!何を言ってるのよこの子は!まあ、ユーヤがケダモノってのは賛成だけど。
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11369人が本棚に入れています
本棚に追加