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それにしても、グレイプニルを断ち切るなんて……おそらくレーヴァティンの性能を使いこなしているのだろう。
あの日から二ヶ月と経ってないのに恐るべき速度だ。
私だってケーリュケイオンの性能を引き出すまで一年近く掛かったのに。
ちなみに、全ての性能は未だに引き出せていない。
むぅ、悔しいわね。
「ところで、僕はお姉さんのコトまだ紹介されてないんだけど」
そう言えばそうね。
「私はフィア=エルステッドよ」
握手の為に差し出した右手が空を切る。
ああ、サイズが違いすぎて握手が出来ないんだ。名乗った時の習慣で手を差し出したちゃったけど……これは失敗ね。
「よろしくー!」
そんな私の感情に気付いてか気付かずか、ワンペちゃんは私の差し出した手の人差し指を握り締めた。
か、可愛い―――
「ユーヤ、この子欲しい」
「欲しけりゃ持ってけ」
「人身売買反対!」
叫んだワンペちゃんは私の指を離し、ユーヤの肩に逃げるように飛び乗る。
あーあ、逃げられちゃった。
って、こんなコトしてる場合じゃなかったわね。
「ユーヤ逃げて!」
この場にユーヤが居るのはマズい。
「何でだ?」
「女性の寝室に忍び込んだケダモノ。逃げるには充分過ぎる理由だよね」
「違う!」
私の寝室は地下牢なんかじゃないわよ!何を言ってるのよこの子は!まあ、ユーヤがケダモノってのは賛成だけど。
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