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「グレイプニルはシックス本部長のアーティファクトなのよ!勝手に解いたりしたら彼が来るわ!」
契約者の皆から評判の悪いシックスだが、本部長という最高の職位にいるのも事実。
ユーヤが彼に見つかれば、間違い無くグレイプニルを解いたことを問題にされ拘束されてしまうだろう。最悪の場合はどうなるか分からない。
ワンペちゃんに至ってはデーモンということで問答無用に殺処分が待っている。
「とにかく逃げて!」
私は何とでもなると思う。まさか殺されたりする事は無いだろう。
でも、このままだとワンペちゃんは確実に……
「んー、そこまで言うなら帰るか」
「お姉さん必死ぽいし、ここは言うコト聞いといた方がいいかもね」
そうよ、早くしないと彼が来る。後は私が上手く誤魔化せば……
「ほら、行くぞ」
「……は?」
「は?じゃねーよ。フィアが逃げろって言ったんだろ」
いや、言ったけど……
それはユーヤとワンペちゃんに言ったんであって、私まで逃げるとは言ってない。
「ユーヤ達だけ―――」
「あふぉか、こんな女の子の扱い方も知らんヤツらの場所に置いてけるか」
え……
私のコトを心配してくれてる。
「でも……」
「デモもストライキも受け付けません。ワンペ、道案内!」
そう言うと、ユーヤはレーヴァティンから手を離した。
刃を下に落ちたレーヴァティンは、床に接触する事なくどこかへと消える。
その後に訪れたのは、灯りに目が慣れたせいもあり数センチ先も見えない闇だった。
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