11369人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
嫌なことを考えてしまうが、私を抱き上げるユーヤの腕と胸から伝わる温もり、ユーヤの匂いが心を落ち着ける。
「お、灯りが見えた」
もう少し静かに温もりと匂いに酔いしれてたかったのに……空気が読めないと言うか、タイミングが悪いと言うか。
「気を付けて。グレイプニルが解けたのはシックスに伝わってるはずよ」
鉢合わせは避けたい。
出来ることならこのまま本部を抜け出したいところだ。
「シックスってなんぞ?」
「あれだ。悪の新人類のコトだよ」
「マズいな。俺、魔界777つ道具とか使えんぜ」
何の話をしてるのコイツらは?
「シックスはマイスの本部長!実質的な最高権力者よ!」
本部の地下牢から私を攫ってる最中だってのに、何でコイツらはこんなに呑気なのよ。
「ふむ。ソイツって、長い白髪で法衣みたいの着た爺さん?」
「爺さんってほど年じゃないと思うけど……そうね」
「そうかアイツか、把握した」
あれ?人相まで言ってなかったのにどうして……
不思議に思ってユーヤから視線を外し、廊下の先を見れば―――そこに居たのはシックスとセブンデイル。そして何故かアインスまでもがいた。
何してんのよアイツは。とうとう個人的にシックスの犬にでもなったのかしら?
―フィアside out―
最初のコメントを投稿しよう!