outside『進化』

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「これが契約してから二ヶ月程の者がする動きか……素体としても素晴らしい」 だから人の話を聞けよ。どこまでマイペースなんだこの爺さん。 ま、年寄り相手に本気出すのも大人気ないし、あっさり気絶させて終わりますか。 距離はニメートル程、俺は一足跳びにシックスへと襲い掛かる。 「寝とけやぁ!」 顔面を狙った右拳。これは囮で、本命は空手の山突きのように同時に打ち出した腹を狙う左拳だ。 「速さは申し分ない」 しかし、踏み込み突き出した両拳に感触はない。 確実に当たる間合いだと思ったんだが、伸びた両腕の先に悠然と佇むシックス。 間合いを読み間違えたか……ならば次は外さない。横腹を狙って回し蹴りを放つ。悶絶しとけや! 「二人を倒した事で力もあるのだろう」 足首から足の甲にヒットするように測った回し蹴りだったが、再びシックスを前に空を切る。 むう、当たらん。伊達にマイスの本部長やってないってコトか。 ならば少し本気でやるとしよう。目を半眼にし、シックスのみならず視界に入る全てを把握する。 業界用語で『観の目』と言うらしい、四谷さんに叩き込まれた技術の集大成だ。 その状態で再びシックスへと前蹴り、当然間合いは測って当たる距離。 しかし、俺の放った前蹴りは再びシックスに届くことなく床に落ちる。 うん、原因がわかった。 この爺さん、当たる寸前に後ろにスライドしてやがる。 そんな動きをしていいのは足の無い幽霊だけだっての。
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