11369人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
当たらない原因が分かれば、次はネタバラしだな。
先ほどから変わらぬ体勢で佇むシックスの首筋に延髄蹴りを叩き込む……が、やはり不可解なスライドでヒットポイントから目標物が消え失せ、俺の延髄蹴りは空振りに終わる。
だがしかし!
「ネタは見切った!」
勢いよくシックスの足下の床を指差す。
灯りが少なく気付き難かったが、よく見ればシックスの足下からは複数本の鎖が伸び床のアチコチに突き刺さっていた。
おそらくグレイプニルなのだろう鎖を前後左右に伸縮させることで幽霊のようなスライドを実現し、俺の攻撃を避けていたのだ。
「洞察力もなかなか……では、次は此方から攻撃させてもらおう」
ああ、ムカつく!
余裕こいて俺を採点してるってか?
予定変更。全力でぶっ潰す。
「レーヴァティンを出さないと……死ぬぞ」
いちいちムカつくわ!
「望み通り出してやんよ!」
余りの苛立ちから決め台詞も忘れ、普通に黒い靄から本日二度目となるレーヴァティンを取り出す。
「建物が壊れると不味いからな。廊下だけに結界を張るとしようか」
言ったシックスの後ろから訪れる違和感。元々が薄暗いので分かり難いが結界が張られたようだ。
ちっ、天井壊して生き埋めにしてやろうと思ってたのに。
「では行くぞ」
シックスが前に伸ばした右手の裾から現れる三本の鎖。
アンドロメダの聖衣も装備してないのにズルいぞ!
真っ直ぐに俺に向かって襲い来る鎖をレーヴァティンで叩き斬る。
つまらぬ物を斬ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!