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「ほう、その強度を斬るか」
その強度もなにも、俺に斬れないのはコンニャクだけだ。
「ならば……これならどうだ」
シックスの左腕を振るった先、グレイプニルが三本袈裟に襲い来る。
「無駄だっての!」
半身ずらしてレーヴァティンを振るえば、グレイプニルは再び両断され床に落ちる……が、先ほどまでと手応えが違う。
斬ったと云う結果は同じなのだが、初めより抵抗が大きかった。
コイツ、少しずつ強度上げてやがる。
どこまでレーヴァティンで斬れるかテストってか。そんなのに馬鹿正直に付き合う俺な訳がないだろう。
「ほう、これでも駄目か。ならばコレではどうだ」
再度右袖の裾から飛び出すグレイプニルだが、もうお前の実験には付き合ってやらん。
直進してきたグレイプニルを大きく右に跳んで回避。そこからレーヴァティンを一閃して衝撃波を飛ばす。
「ふむ……」
しかし、俺の放った衝撃波は届くことなく、シックスの前で渦状に回転するグレイプニルにより阻まれてしまう。
やっぱ攻撃だけじゃなく、防御にも鎖を使えるようだ。
「それで全力な訳ではないだろう?出し惜しみしていたら―――」
不意に左頬に走る痛み。
「死ぬぞ」
左手で頬に触れてみれば、生温かい液体が指に付く。
今の攻撃は全く見えなかったぞ、こんちくしょう。
ヤツの本気がどのレベルなのかは分からんが、手を抜いてるうちに倒した方が良さそうだ。
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