11369人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
「ぬう……」
俺の繰り出した突きはグレイプニルの隙間を通り抜けシックスの肩に沈む。
くそっ、腹を狙ったのにグレイプニルにかすって軌道がズレちまった。
しかし、狙いがズレたからと云っても肩には傷を負わせることに成功したのだから、当然次は傷口を抉りますよ。
「らあッ!」
手元でレーヴァティンを捻り突き刺さった刃を斬り上げる。
「ぐあッ!」
シックスの肩から舞う血飛沫。集中が弱まった為かグレイプニルの挙動が緩慢になった。
俺がこのチャンスを逃すワケがない。
振り抜いたレーヴァティンの刃に意識を集中。右手で柄を逆に持つと腰溜めにしたままシックスへと倒れ込むように重心を移動する。
「ユウヤスラッシュ!」
「うわっ、技名に自分の名前組み込んだ!」
ワンペは分かってないなぁ。アバン先生だって自分の名前を必殺技に組み込んでたじゃまいか。
「く……はぁッ!」
そんな切断力を上げた俺の斬撃は渦巻くグレイプニルを断ち切り、シックスの右肩から左脇腹に掛けて大きく切り裂く。が……
「……む?」
しかし、切り裂いたはずのシックスの腹部からは血の一滴も流れてはいない。
よくよく見れば、切り裂かれた法衣のような服の隙間から覗くのは無数のグレイプニル。
あの服の下で体に巻き付いたグレイプニルが切断力を高めたレーヴァティンの斬撃を防いだのだろうが……どんだけ硬いんだ?
渦状のグレイプニルは真っ二つなくらいに威力を高めてたのに、傷一つ付いてないとか。
ま、斬撃の衝撃までは防げなかったみたいだけどね。
最初のコメントを投稿しよう!