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「……なるほど強いな」
床に片膝を着くシックスは左手で切り裂かれた右肩を抑え呻く。
「余裕こいてるから足元掬われるんだよ」
油断はしない。レーヴァティンの切っ先をシックスの目の前に突きつける。
「勝負有りだな」
「それはどうかな」
諦めが悪いな爺さん。往生際の悪さは嫌われる原因だぞ。
「この状況から勝敗を覆せるとでも?」
切っ先を膝を着くシックスの喉元に押し当てる。
「ああ、手加減を止めるからな……」
シックスの言葉が終わった瞬間、服の襟足から飛び出したグレイプニルがレーヴァティンの刃に絡み付く。
「そんじゃあ、死んで後悔しとけや!」
俺は意識を集中して切断力を上げたレーヴァティンをシックスの喉元へと押し込んだ……が、レーヴァティンはピクリとも動かない。
まるでその場に固定されてしまったかの様に押せども引けども動かない。
「予想以上に強くはあったが、想像以上ではなかったな」
両手でレーヴァティンを必死に引き抜こうとする俺の前、悠然とシックスは立ち上がり右手を外に振るう。
「ぐはぁッ!」
突如として襲った痛み。
俺はレーヴァティンから手を離し壁際へと吹き飛ばされた。
今のは何だったんだ。完全に意識の外からの攻撃だった。
しかも、術で身体強化した俺を吹き飛ばす程の攻撃……予想外だ。
レーヴァティンが手から離れたことで身体強化の術は解け、肝心のレーヴァティンはグレイプニルに捕らわれたままになっている。
どうしよう?
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