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「さて、それでは処断に入ろうか」
朱に染まった右肩から左手を離したシックスはそのままフィアに指先を向ける。
この野郎、結局はフィアにも手ェ出す気か!
「ざっけんなァァァッ!!」
レーヴァティンを拘束されたままの俺は素手でシックスへと襲い掛かる。
「無駄だ。お前の力はもう分かった」
こちらに向けられた右手から伸びるグレイプニルの一本が俺の左足に絡みつく。
こんなモンで止まるかよッ!
右拳を握り締めシックスの顔面に向けて振り抜く。
しかし、その拳がシックスに届くことは無かった。
拳が届く数十センチ前で足に絡みつくグレイプニルが俺の挙動を妨げていたからだ。
「お前は後だ。先ずは……エルステッド、貴様からだ」
足に絡みついたグレイプニルが這い上がり、俺の身体を拘束、フィアに伸ばしたままのシックスの左手からはグレイプニルが伸びる。
「きゃっ!」
小さく叫んだフィアだったがさすがは契約者、横に跳んでグレイプニルを避けケーリュケイオンを呼び出し構えを取った。
「ほう、刃向かうか」
「当然よ!ユーヤが私の為に戦ってくれてるのに……もう迷わない!」
強い意思の見える瞳。
つか、迷ってたのかよ。地味に隙を突いてシックスに攻撃してくれるコトを期待してたんだけどな。
「しかし、ケーリュケイオンで私に勝てるとでも思っているのか?」
「勝てなくてもやんのよ!」
おお、フィアがカッコいい。
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