11369人が本棚に入れています
本棚に追加
/317ページ
フィアはケーリュケイオンを縦に構え詠唱を始める。
まあ杖だし直接攻撃はないよな。
俺は殴られたけど。
「やらせると思うか」
シックスは詠唱を始めたフィアを前にグレイプニルを振り上げ落とす。
鞭の様に振り下ろされたグレイプニルだが、フィアの展開する防護壁に衝突し跳ね返され床に落ちる。
障壁いいなー。レーヴァティンじゃ使えないし、羨ましす。
「Photon Bullet!」
“光子の弾丸”
詠唱を終えたフィアが叫ぶ。
杖の頭をシックスに向ければ、生み出された直径十センチ程の光の球体が撃ち出される。
グレイプニルは面や線の攻撃に滅法高い防御力を誇るが、点の攻撃に弱いのは俺の突きで確認済みだ。
フィアの術に俺は内心賞賛を贈った。
しかし、シックスは慌てるでもなく身体を横に半歩移動し、あっさりとフィアの放った術を避ける。
そう、点の攻撃はグレイプニルをすり抜け易くもあるがが避け易くもあるのだ。
自分を狙って来るのが分かっているのだから、後は発動のタイミングさえ見極めれば避けるのは俺でも難しくない。
これは相性が悪いわ。
お互いに中距離から遠距離戦闘を得意とする者同士。
フィアは術に頼った中距離から遠距離。
シックスはグレイプニルの範囲である近距離から中距離が得意な間合いなのだと思われる。
今はお互いの間合いである中距離で戦っているが……シックスが間合いを詰めれば、前衛が居てこそ本領が発揮されるタイプのフィアはかなり苦しい戦いなってしまうだろう。
最初のコメントを投稿しよう!