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この微妙なバランス。
何かが加われば一気に事態は動くだろう。
そんな時、シックスの後ろに人影が見えた。
「申し訳ありませんでしたシックス様」
ああ、何かが加わっちゃったよ。
鳩尾に強烈な一撃を食らってへたり込んでいたセブンデイルが復活して来やがった。
「お前の力量ではレーヴァティン契約者は少々手に余るな」
「返す言葉もございません」
マズいな。おそらくセブンデイルも何らかの契約者だろうコトを考えると、フィアの勝ち目が万に一つもなくなった。
俺が動ければ勝算も生まれるだろうが……現在グレイプニルで絶賛拘束プレイ中です。感じてなんかないんだからね!
「大人しく縛につく気はないか」
半眼でフィアを見据えるシックスだが、フィアは杖を前に構え拒否の態度を身で示す。
「シックス様の温情が分からないとは……私のフルンティングに吸われるがいい」
フルンティング?聞いたことがない名前だがどんなアーティファクトなんだろう。
ゆったりと前に出るセブンデイルの右手にはいつの間にか一振りの剣が握られていた。
通常の剣より柄が二倍近く長い細身の西洋剣。
銀色の刃は暗がりの中で妖しく燭台の灯を照り返している。
なんか……マズい。
フルンティングからレーヴァティンと同じような雰囲気を感じるぞ。
「初めて見たわ。それが貴方のアーティファクトなのね」
「はい。フルンティングの事を知っているのはシックス様だけです。他にこの剣を見た人達は……」
セブンデイルがフルンティングを持ち上げ切っ先をフィアに向ける。
「吸われて剣の一部になりましたから」
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