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よくよく見れば、ユーヤはシックスの首筋にレーヴァティンを沿わせているのではなく、首筋を守るグレイプニルにより刃を止められていた。
「貴様ッ!」
セブンデイルがシックスを護るために振り向くが、そこで一つの異変が起こる。
「くっ……」
痛みから下唇噛む私の傷口を抉り、フルンティングは真っ直ぐ下に落ちた。
引き抜かれた訳ではない。支えを無くして床に落ちたのだ。
それに驚いたのは契約者のセブンデイル。
床に落ちたフルンティングを見つめている。
不思議に思った私も床に目を落とせば、フルンティングの柄には手首から先が着いたまま赤い血溜まりの中に横たわっていた。
「な……ああああああああああああああああああッ!!」
切断された右手首を押さえうずくまるセブンデイル。その右手首からは夥しい量の血が溢れている。
これはいったい……
予測でしかないがユーヤがやったと考えれば説明はつく。
あの消えてから姿を捉えるまでの数瞬でセブンデイルの手首を両断し、シックスの首へと肉迫した……全く見えなかったから予測でしかないけど、この説明なら納得がいくわ。
「ちッ、さすがに硬いな」
「――くッ!」
横に跳んだシックスは右手を前に出し、グレイプニルをユーヤに向けて振るう。
しかし、放たれたグレイプニルはユーヤが居た空間を通り過ぎ対面の壁に突き刺さった。
「どこ狙ってんだ」
レーヴァティンを外に振るうユーヤだが、当たる寸前にシックスはグレイプニルで受け止める。
束ねた鎖が数本断ち切られたが、残り数本で辛うじて止めた形だ。
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