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どうなってるの?
遠目に見ていた私にも何が起こったのか分からない。
私にはユーヤがグレイプニルを避けたようには見えなかった。
むしろグレイプニルがユーヤを避けて飛んだように見えたのだけど、この状況でシックスがわざと攻撃を外す理由が見当たらない。
「なぜだッ!」
レーヴァティンを弾き後ろに下がったシックスだが、そこには廊下の壁が立ち塞がる。
壁を背にして左右を見渡すシックス。
しかし、彼をサポートする者は誰もいない。
セブンデイルは出血多量からか、顔色を青ざめさせ止血に必死。アインスに至っては未だに動く気配もない。
「クソッ!」
両腕をユーヤに向けたシックスは無数のグレイプニルを解き放つ。
私を拘束していた物も引き揚げて全力でユーヤを迎え撃つ。
その様はまるで巨大な柱が撃ち出されている様だった。
無数の鎖が一塊になり密度を高め、一つの砲弾となってユーヤを襲う。
「悪 即 斬」
しかし、右手のみでレーヴァティンを支持し左手を前に突き出した独特の半身の構えからユーヤが放った突きは砲弾と化したグレイプニルをあっさりと左右真っ二つに断ち切った。
ジャラジャラと鎖特有の音を立てながら床にばら撒かれるグレイプニル。
有り得ない。
あれほど高密度のグレイプニルの塊を一閃するなんて……
今のユーヤは明らかにシックスを上回っている。
いったい何が起きたのだろう。
先程までグレイプニルに拘束されていたのは演技だったとでも言うのだろうか。
でも、演技だったならばワンペちゃんが殺される前に動いたハズだ。
ならば考えられるのは、ワンペちゃんの死を引き金に……何かが変わったのだろう。
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